

リチウムって聞くと、私はまず「電池!」って思っちゃう。
スマホ、モバイルバッテリー、EV、ノートPC。
ガジェット好きとしては、リチウムはかなり身近な存在なんだけど、医学の世界では昔から気分安定薬として使われてきた成分でもあるんだよね。
で、最近気になったのがこれ。
「リチウムがアルツハイマー病や認知症の予防に関係しているかもしれない」
……えっ、電池のリチウムが脳にも関係するの!?
って、最初はちょっとびっくりした。
でも調べてみると、これは単なる噂ではなくて、ちゃんと論文がいくつもある話だった。
ただし、最初に大事なことを言っておくね。
現時点では、「リチウムを飲めばアルツハイマー病を予防できる」とは言えません。
ここを飛ばすと、かなり危ない話になっちゃう。
リチウムはサプリ感覚で気軽に試すものではなく、医師の管理が必要な薬として扱われているものだから。
まず注目したいのは、軽度認知障害、つまりMCIの人を対象にした研究。
2011年に発表されたForlenzaらのランダム化比較試験では、健忘型MCIの人に1年間リチウムを投与して、認知機能やアルツハイマー病に関係するバイオマーカーへの影響を調べている。研究では、リチウム群で認知機能低下が抑えられ、脳脊髄液中のリン酸化タウ濃度も低下したと報告されているんだって。しかも、この試験では血中濃度0.25〜0.5 mmol/Lの範囲で安全性・忍容性も確認されたとされている。(Cambridge University Press & Assessment)
ここだけ見ると、かなり期待しちゃうよね。
「えっ、MCIの段階で進行を抑えられる可能性があるの?」って。
ただし、この研究は小規模。
だから、これだけで「予防効果あり!」と決めるのは早すぎる。
次に面白いのが、水道水中の微量リチウムと認知症リスクの研究。
デンマークの大規模研究では、認知症患者73,731人と対照733,653人を比較して、水道水中のリチウム濃度と認知症発症率の関係を調べている。その結果、リチウム濃度が高い地域では認知症の発症率が低い傾向が見られたんだけど、関係はきれいな直線ではなく、非線形だった。研究者たちも、居住地域に関係するほかの要因、つまり交絡因子は除外できないとしている。(JAMA Network)
つまり、
「リチウムが多い水を飲んでいる地域では認知症が少なそう」
というデータはある。
でも、
「だからリチウムが認知症を防いだ」
とまでは言えない。
この差、めちゃくちゃ大事。
そして2025年、Natureに掲載された研究がかなり話題になった。
この研究では、アルツハイマー病に関係する脳内の変化とリチウムの関係が調べられている。論文では、リチウムの恒常性が乱れることが、アルツハイマー病の長い前駆期間に関わる可能性があり、アミロイドによってリチウムが隔離されることで、影響を受けた脳領域のリチウムが減る可能性が示されている。さらに、リチウム不足がアミロイドβの除去低下、リン酸化タウの蓄積、炎症、シナプスや軸索、ミエリンの喪失につながる可能性も示されている。(Nature)
これ、科学部的にはかなり燃える話。
今までアルツハイマー病というと、アミロイドβとかタウタンパク質の話が中心だったけど、そこに「リチウム不足」という視点が入ってくる。
しかも、ただの関連ではなく、脳内で何が起きているのかというメカニズムに踏み込んでいる。
ただし、ここでも冷静にならなきゃいけない。
Natureの研究はとても重要だけど、主にメカニズム研究や動物実験を含む内容。
人間で「リチウムを飲めばアルツハイマー病を予防できる」と証明したわけではない。
そして、2026年にはJAMA Neurologyに低用量リチウムのパイロット試験が掲載されている。
この試験では、MCIの高齢者80人を対象に、低用量リチウムを2年間投与して、認知機能、脳画像、血液バイオマーカーなどを調べた。結果として、設定された6つの主要評価項目はいずれも事前に決めた有意差の基準には届かなかった。一方で、言語記憶の低下はプラセボ群よりリチウム群で小さい傾向があり、アミロイド陽性の人では効果が大きそうな探索的結果もあった。(JAMA Network)
これもまた、すごく微妙で大切な結果。
「まったくダメだった」というより、
「可能性は見えた。でも、まだ証明には足りない」
という感じ。
研究者たちも、この試験は今後の大規模な確認試験につなげるためのもの、という位置づけでまとめている。(JAMA Network)
ここまで整理すると、今わかっていることはこんな感じ。
リチウムは、アルツハイマー病や認知症の予防・進行抑制に関係している可能性がある。
特に、MCIの段階での進行抑制、脳内リチウム不足、アミロイドとの関係はかなり注目されている。
でも、まだ一般の人が予防目的で自己判断で使う段階ではない。
ここ、ほんとに重要。
リチウムは、体内の濃度管理が必要な薬。NHSの情報でも、リチウムを使う場合は血中濃度を確認するための定期的な血液検査が必要で、安定後も3〜6か月ごとに確認するとされている。(nhs.uk)
さらに、腎機能や甲状腺機能、電解質などのチェックも必要とされている。(SPS - Specialist Pharmacy Service)
だから、ネットで「リチウムが認知症に効くらしい」と見かけても、
「じゃあ飲んでみよう!」は絶対にダメ。
これは本当に、医師の判断が必要な領域。
美空的な結論は、こう。
リチウムとアルツハイマー病の関係は、かなり期待できる研究テーマ。
でも、今はまだ「未来の予防・治療候補として研究中」という段階。
小規模な臨床試験では前向きな結果があり、疫学研究でも関連が示唆され、2025年のNature論文ではメカニズム面でも面白い仮説が出てきた。
一方で、2026年の低用量リチウム試験では主要評価項目で明確な有意差は出ていない。
つまり、
期待はある。だけど、結論はまだ早い。
科学って、こういうところが難しい。
「すごい発見かも!」ってワクワクする気持ちと、「でも本当にそうなの?」って一歩引いて見る冷静さ。
どっちも必要なんだよね。
リチウムは、これからのアルツハイマー病研究でかなり注目されるテーマになりそう。
次に大規模な臨床試験が出てきたら、またちゃんと追いかけたいな。
うーん、電池だけじゃなくて脳の研究にも関係してくるなんて。
リチウム、思ってたよりずっと奥が深いじゃない!
まとめ
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リチウムがアルツハイマー病や認知症の予防・進行抑制に関係する可能性を示す論文はある
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MCIを対象にした小規模試験では、認知機能低下やリン酸化タウへの良い影響が報告されている
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水道水中の微量リチウムと認知症リスク低下の関連を示す大規模疫学研究もある
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2025年のNature論文では、脳内リチウム不足とアミロイド、タウ、炎症との関係が注目された
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2026年の低用量リチウム試験では、主要評価項目で明確な有意差は出ていない
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現時点では、予防目的で自己判断使用する段階ではない
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リチウムは医師の管理と血液検査が必要な薬
参考にした主な論文・資料
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Forlenzaら:健忘型MCIに対する長期リチウム治療のランダム化比較試験 (Cambridge University Press & Assessment)
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Kessingら:水道水中リチウム濃度と認知症発症率のデンマーク全国研究 (JAMA Network)
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Aronら:Lithium deficiency and the onset of Alzheimer’s disease, Nature 2025 (Nature)
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Gildengersら:Low-Dose Lithium for Mild Cognitive Impairment, JAMA Neurology 2026 (JAMA Network)
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NHS / SPS:リチウム使用時の血中濃度・腎機能・甲状腺機能モニタリング情報 (nhs.uk)